憎しみは消えるか

TBSで広島の原爆についての番組をやっていた。
見ようとは思いつつ、つらいのが分かっているのでしばらくは見ずにいた。
でも予告でやっていた問題のシーンはどうしても見届けたくて、
チャンネルを変えた。
それは原爆を開発に関わり、投下の際に同行して映像を残した博士が
初めて広島を訪れるという件で、彼が「私は謝らない」と発言するのを
前もって知っていた。


広島の町並みを見た後、原爆資料館を訪れたのだが、
彼が興味を示したのは自分自身が関わった原子爆弾そのものについての展示で、
その間は「自分の仕事だ」という自信に目が輝いていたように見えた。
その後の被爆者についての悲惨な展示には「ひどいものだ」と口では言うものの、
根本的に心を動かされたようには感じられなかった。
あくまでも他人事といった様子。
そして被爆者の二人に対面して、どれほど酷い体験だったかを聞いた後
彼が発した言葉が「私は謝らない」だった。
パールハーバーを忘れるな」とも。
私の神経を逆なでしたのは、「原爆で死のうが病気で死のうが同じ」
「戦時には善良な市民というものはいない」という言葉。
たぶんこの人って、想像力が足りないんだろうなあ。
少しでも安らかな死を望むのは当然の願望じゃないのかなあ?
自分や自分の家族が死ぬ時にこんな苦しみを味わったらと思うとやり切れない。
ましてや被爆した人は生き残っても苦しい思いをしているのに。
アメリカ本土が空襲に遭った事がないからそんなことが言えるんだろう。
だからこその彼らの言う「パールハーバー」であり、「9・11」なんだと思う。
「戦争はなくならない」と最後に言った博士、
私はそれを重々承知の上で、なくなって欲しいと望んでいる。